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岡部嶺男について

館長日記2020.10.07

「孤高の天才」、「悲劇の天才」と称される岡部嶺男は、その激動の人生において多種多様な作品を残している。
そのどれもが個性豊かで力強く、多くのジャンルで他の追随を許さないレベルの作品を生み出した稀有な作家である。
嶺男作品は青瓷、織部、志野の作品数が多くまた著名だが、他にも飴釉、灰釉、黄瀬戸、刷毛目、唐津、備前などの作品も「天才」と言われる腕前を発揮した優品が多い。

一般的には青瓷作品が岡部嶺男作品の頂点とされ、豊かな釉調とフォルムを持つ作品は「嶺男青瓷」と呼称されていまもって日本の青瓷作品の頂点に君臨している。多くの青瓷作家が、嶺男作品を範として彼の作品を超えるべく精進を重ねているが、嶺男青瓷を凌駕する作品はまだ見ることができない。

そんな中で作り手(作家)の目から見た場合、青瓷作品よりも織部が頂点にあるという話を聞いたことがある。
例えば、志野の人間国宝・鈴木蔵氏や若手青瓷作家の若尾経氏などは、青瓷作品よりも織部の方に高い評価を与えている。
鑑賞の側から見た評価と、作家の目から見た評価の違いもまた嶺男作品の力や深みを示すものなのだろうが、作家の目に映る織部の美しさを是非今回の展示作品を通じて味わっていただきたい。

岡部嶺男 織部平鉢

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